本日、営業よりアップします。
雑誌『BRUTUS』の年末号は毎年「本棚と本」の特集です。暮らしの道具としての本棚を、所有者の人生や思考と結びつけて掘り下げる内容になっており、本棚は単なる収納ではなく、住まい手の“思考の風景”をつくる装置なのだと、あらためて感じさせられました。

作家や写真家、TVディレクターなど14人(13件)の本棚とそこからセレクトされた五冊の本が紹介されています。一昨年亡くなった脚本家の山田太一氏や、なんだかんだの後に猟師になり山小屋に住むようになった東出昌大氏、以前このブログでも紹介した、自邸を図書館にしてしまった橋本・山本両氏★、今回も見どころ満載でした。本棚の中に、自分が所有しているのと同じ本を見つけたりするとちょっと嬉しくなります。
壁一面の本棚は見ていて壮観です。しかしどんな本棚も、水平になっている棚板に本を背表紙をこちらに向けて垂直に並べている点は同じです。ただ、このディスプレー方式は比較的新しいもののようです。中世ヨーロッパの修道院では、本は貴重品だったため鎖で机に繋がれていました。鎖付図書というやつです。背表紙を見て本を選ぶ文化が広がったのは、印刷技術が普及してからのようです。
さて、本棚にまつわる悩みの一つは、市販の家具では所有している本のサイズと合わないために上部に無駄な空間が生まれてしまうということではないでしょうか。この空間を埋めるために本を思わず横積みにしてしまうのですが、これをやった瞬間に本は取り出しにくくなってしまいます。また、市販の本棚の多くは奥行きがありすぎて前面にこれまた無駄なスペースが生まれる点も所有者を苦しめるポイントです。本を前後2列に配置すると収納量は増えますが、後ろに追いやられた本とは二度と邂逅できなくなりそうです。ましてや前面に多種多様の置き物が飾られるに至っては取り出すことすら億劫になります。
本棚の造作こそおすすめです。造作なら1cm単位で調整可能です。結果として収納量も増やせます。本棚は完成することのない”成長する家具”です。住まいとともに育てていきたいものです。
































